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映画「イーダ」 [映画の感想]

プライベートな時間(とお金)の大半を東方神起に費やしている私ですが、かつては映画鑑賞が趣味だったんです。最近は月に数本見るか見ないか……といった程度になってしまい、「趣味です」なんてとても言えなくなってしまいました。

そんなことは、さておき。

先日、「イーダ」というポーランド映画を観てきたのですが、これが本当に面白くてですね。「すっごい面白かったよ」ということを誰かに伝えたいがためだけに、いま、カタカタとキーボードを叩いている次第です。
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すっごい面白かったよ度:★★★★☆



孤児として修道院で育てられた少女イーダが、修道女としての誓いを立てる前に、唯一の肉親であり且つ彼女の引き取りを拒んだ伯母に会いに行くところから物語は始まります。

モノクロ映像の上に、冒頭で描かれるのが修道院なので、しばらくはいつの時代の話なのかがいまひとつ分からないんですが、物語の進行とともに「冷戦下(1960年代ごろ)」と分かってきます。

伯母のもとに到着したイーダは、伯母の口から、自らがユダヤ系であることを知らされます。彼女はなぜ孤児になったのか。出生の秘密を探るため、彼女は伯母とともに旅に出ることに。

この旅でイーダは、両親らがホロコーストの犠牲になったことを知るわけですが、ナチスのみを悪者として非難できない複雑な背景がそこにはあり、大国に蹂躙されてきたポーランドという国の"悲しみ"が心に重くのしかかります。


出生を探る旅で全編が終わるのかと思いきや、実はその後の物語も描かれます。


旅を終えてすぐに修道女になるはずだったイーダですが、神に「もうすこし時間をください」と祈り、予定を先延ばしにします。(イーダが信仰心を失わなかった理由については、もうちょっと考えたい。)

そんな折り、伯母が自殺。
命を絶つ前夜、「あんなに美しい髪なのに……」と嘆いていたことを考えると、これは孤独と絶望を抱えて生きてきた伯母が、自らの命と引き替えにイーダに与えた"猶予期間"だったのかなと思います。

葬儀のためにやってきたイーダは、この猶予期間を"有効に"活用。戒律を破って酒や煙草に手を出し、一人の男性と一夜をともに過ごします。男性とピロートークをするイーダの表情が、一気に大人の女性のものに変わって、はっとさせられました。

イーダは結局、男性には何も告げずに修道院へと戻ります。このときの、思い詰めたようでもあり何かを吹っ切ろうとしているようでもある表情がとても印象的でした。


難しい解釈などはよく分からないのですが、静謐で美しく、そして悲しみをたたえた映像と物語に心を奪われました。80分と短い作品ながら、見終えた後の充足感はそれ以上。とても面白かったです。

「イーダ」公式サイト
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