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映画「ミツバチのささやき」 [映画の感想]

※コピペミス(重複)を修正しました。失礼しました!※

1973年のスペイン映画。
レンタルリストに入れたのは数年前......当時の私がこれをなぜ観ようと思ったのかは、もはや記憶にありません。
監督はビクトル・エリセだそうで……ああ、なるほど。この監督の「ライフライン」という短編が大好きなんですね、私。たぶん、それでリストに入れたんだろうと思います。

といったところで、以下。ネタバレ有りの感想文となります。

ドン・ホセのインパクト:★★★★☆

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物語の舞台は内戦終了後のスペイン。荒涼とした景色の広がる小さな村で生きる少女アナが主人公です。

もともとすこし内向的で夢見がちだったであろうアナ。村の公民館で行われた映画の上映会で観た「フランケンシュタイン」にすっかり魅了されてしまいます。
「フランケンシュタインは精霊」「少女は死んでいない」「フランケンシュタインは村の外れにいる」という姉イザベラの'嘘'を信じこみ、自分も少女のようにフランケンシュタイン(精霊)と交流したいと思ったアナは、姉から教わった'精霊の隠れ家'に足しげく通うようになります。

アナとこの物語を語る上で外せないのが、姉イザベラの存在です。物語の中でしばしば描かれる彼女の聡明さや残虐性、妹に対する支配欲は、ひょっとしたら後の'悲劇'はイザベルが引き起こしたことなのではないか......と思わせるほど。
悲劇の発生したタイミングがちょうど、アナがイザベラに反抗するようになってからなんですよね。アナが'精霊の隠れ家'で脱走してきた男と出会い、密かに男と交流するようになったとき、イザベラはどうしようもない苛立ちを感じたのではないでしょうか。そして妹(=自分のもの)を取り戻すべく、「村の外れに見知らぬ男がいる」と告げ口したのでは......内戦が終わったばかりの独裁政権下ということを考えると、そういった密告システムが機能していた可能性はあると思うんですよね。

果たしてイザベラの思惑どおり邪魔な男は排除され、心を閉ざして'生ける人形'のようになった(=以前よりさらに従順になった)妹は、再び彼女のもとに。
ベッドに横たわる妹の顔を見て微笑むイザベラが、なによりホラーな瞬間でした。


まあ、私の勝手な解釈なので、間違っていたらスミマセン。


あと三点ほど。

1)「ミツバチのささやき」というタイトルについて。
アナとイザベラの父親が養蜂をしていまして、家の窓が蜂の巣をモチーフにしていたり、蜂蜜色の照明だったりするので、最初は「どれだけミツバチ好きなオッサンなんだ」と思ったのですね。しかし物語が進むにつれ、彼ら自身が'ミツバチ'なのだと思い直しました。父親が書いては消し、書いては消しを繰り返している文章で描写されていたミツバチの生体は、実は彼ら自身についてを語らせていたのかなあと思います。

2)この物語で唯一明るい兆しと思えるものが、夫婦関係の改善。遠くにいる'誰か'に手紙を綴っていた母親がアナの事件をきっかけに、夫への愛情を取り戻したように感じました。夫婦の関係が冷えきったものになったのは、内戦で心に多くの傷を負ったせいではないかと思いますが、どうでしょうね......。

3)最後、ちょっと面白かったシーンについて。
アナがフランケンシュタインと遭遇する場面があるのですが、このときフランケンシュタインを演じていたのは父親役の俳優さんだと思うのです。ちょっとトミー・リー・ジョーンズ似。「あら、お父さんw」と笑ってしまったのですが、なにか深淵な意味があったり、実は別の俳優が演じていたりしたらごめんなさい!

あと、理科の授業に登場する人体模型も面白かったですね。ドン・ホセと名付けられていました。
img_20151229_b.jpg

ドン・ホセで思い出しました。
この授業で先生から「ドン・ホセには大事なものがありません」と質問されたときに、アナは「耳」と答えます。正解は「目」。アナにとっては、"目には見えない精霊"の声を聞くための耳のほうが大事だったんですね。
彼岸の住人となった彼女の耳には今後、窓辺に置かれた巣箱から響き渡る"ミツバチのささやき"が、精霊のささやきとして届くのでしょう。


といったところで。
総括。派手な展開はないのに、なぜか気になって見てしまう作品でした。映画「パンズ・ラビリンス」が好きな方は、「ミツバチのささやき」も好きなのでは。

出先でばーっと打ったので、文章がいつも以上に雑かもしれませんが、ご了承ください。といったところで、また。
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